乾燥肌が起こるメカニズムについて
秋から冬にかけては肌が乾燥しかゆくなる乾燥肌に悩まされるママや子どもが増えます。
その原因は、空気の乾燥によって肌内部の水分量も減ってしまい、バリア機能が壊れるから。
肌のうるおいが失われ、水分量の減ってしまったバリア機能の低い肌は、柔軟性がなくもろい状態。
こうなってしまうと色々な肌トラブルを起こしやすくなってしまいます(乾燥性敏感肌)。
もちもち肌の印象が強い赤ちゃんですが、赤ちゃんも乾燥肌に注意。生まれて3ヶ月位までは、
母親のホルモンが残っているため、皮膚の脂の腺(皮脂腺)の働きが活発で、大人と同じくらい脂っぽい肌です。
しかし、それを過ぎると、赤ちゃんは皮脂腺の働きが弱くなるため、乾燥に弱くなります。
程度の差はあるものの、乾燥肌は思春期になるまで続きます。
このため、保湿剤を塗って少なくなった脂分を補い、肌の乾燥を防ぐ必要があるのです。
とくに乾燥している部分が「フケのような白い粉をふいている」症状が見られることもあります。
これは、乾燥がすすみ、肌表面の角質幕が剥がれ落ちてしまった状態(落屑・らくせつ)です。
一般的に「粉ふき肌」と表現することが多いですが、これもかゆみを伴います。
冬の肌のかゆみや肌が乾燥する原因をすべて取り除くのは、不可能かもしれません。
しかし、かゆみが起こらないように普段から肌を守ってバリア機能を高めてあげることが大切です。
小さな子どもの場合、夜にかゆみが強くなる子が多く見られます。
これは、温度差が原因。布団の中で急激にからだが温められたことや、
睡眠中のちょっとした汗にも皮膚が反応し、かゆみを誘発しているのです。
乾燥肌の対策
1,保湿
とくに、入浴後は念入りに行うようにしましょう。
入浴後は、入浴によって皮膚内に水分が補給され皮膚がしっとりする反面、
皮膚表面の脂分や肌のうるおい成分が流れ出てしまうマイナスの側面もあります。
保湿は入浴後すぐに行うのがオススメ。
その理由は、保湿をすることによって皮膚表面の脂分が昼の中の水分の蒸発を抑えてくれ、
しっとりとした肌を維持することができるようになるからです。
つまり、皮膚の中の水分が蒸発する前に保湿剤で油の膜をつくって蒸発を防ぐということ。
だからなるべく早く保湿剤を塗ったほうがいいのです。
ちなみに、入浴時に肌をつよくこするのは、必要な油膜をこすり落としてしまうので皮膚の乾燥を起こしやすくします。
こすりすぎ、洗いすぎには注意をしてください。
保湿剤は女性の基礎化粧と同じです。
普通の肌が乾燥しないよう塗るものであるため、すでに湿疹になってしまっている場合は注意が必要です
(乾燥して困ると受診される方のかなりの人がもう湿疹になっている場合も多々)。
保湿剤には湿疹を治す成分は入っていません。
保湿剤を塗った途端に湿疹が急に悪化するケースも少なからずありますので、
一度かかりつけ医を受診し、肌にあったものをしっかり処方してもらうといいでしょう。
2,爪をみじかく切る
子どもに「かいちゃダメ」といってもなかなかきかないもの。
その時は意識できても、眠っているときにボリボリかいてしまうことだってあると思います。
そこで、肌をかき崩さないための対策として常に爪を短く整えてあげましょう。
かくことによってお肌を傷つけ、さらにお肌のバリア機能を低下させ、
余計に痒くなるなどしてしまってはまさに負のスパイラル。
基本的なことですがしっかりママが心がけましょう。
■保湿剤なら何でも塗れば良い?
乾燥の程度は人それぞれ。
保湿剤もワセリンのように油っぽいものからローションのようにさっぱりしたものまで様々なタイプがあります。
乳液状のローションはクリームに水を混ぜたようなもので、
塗りのばしはラクですが蒸発しやすいため保湿力が弱いです。
ワセリンは油分は豊富な一方です水分補給は苦手です。
大事なことは肌に合った保湿剤を選ぶこと。
合わないものを使用すると乾燥肌が改善しないばかりか、湿疹になってしまうこともあるので注意が必要です。
肌のバリア機能低下のサイン
カサカサした肌や粉吹き肌、かゆみのある肌は肌のバリア機能低下のサインとも言えます。
普段と違う状態がみえたら、まずはかかりつけ医へ。
指示に従ってこまめな保湿を行うなどのスキンケアを徹底し、早めに症状を改善できるように努めましょう。
また、肌の健康状態は環境や生活習慣とも密接に関連しています。
食生活や睡眠時間など、日常生活を見直すことも大切ですよ。
冬に肌が乾燥する原因
乾燥肌とは、皮膚のバリア機能が低下している状態のこと。肌は表面から角質層→表皮→真皮の順に重なっており、正常な肌では「角質層」が内部からの水分の喪失を抑えるほか、外からの雑菌や紫外線などから皮膚を守る働きをしています。しかし空気が乾燥しやすい冬では皮膚内の水分が失われやすく、角質層のバリア機能が正常に働かなくなる原因に。その結果、皮膚がカサカサになり「乾燥肌」を引き起こすと考えられています。
赤ちゃんの肌
赤ちゃんの乾燥肌でとくに気を付けたいのは生後4ヶ月以降。赤ちゃんの誕生から生後3ヶ月頃まではお母さんからのホルモンの影響により、皮脂の分泌が盛んで肌も脂っぽい状態です。生後4ヶ月頃を超えると皮脂の分泌量は落ち着いていきますが、角質層の厚みが大人の半分ほどしかないためバリア機能が低下しやすく、大人よりも乾燥に弱い状態に。そのためオムツが擦れる程度の刺激で肌トラブルを起こすこともあります。とくに乾燥している部分は「粉ふき肌」と呼ばれる白い粉が見られる状態になり見た目だけではなく、痒みを伴うことが多いため、日頃からきちんとしたケアをしてバリア機能を高めてあげることが大切です。個人差はあるものの、この状態は思春期頃まで続きます。
どう予防したらいいの?
①肌を清潔な状態にしよう
まず大切にしたいことは「肌を清潔な状態にする」ことです。大人に比べて2~3倍ほど多く汗をかく赤ちゃんの肌はべたつきやすいため、ほんの少しのホコリでも肌に吸着してしまいます。そのまま保湿剤を塗ってしまうと乾燥の悪化や別の肌トラブルを引き起こすこともあるので、1日1回は沐浴や入浴などで肌を清潔にしてから保湿剤を塗ってあげましょう。また冬の時期は寒く、お風呂やシャワーの温度を上げたくなりますが、理想の温度は38~40℃です。温度が高すぎると肌の刺激に繋がり、痒みの原因になるだけでなく、必要な皮脂まで取り過ぎてしまうことも。夜に痒みが強くなる原因も、布団に入って身体が温まることでの温度差が原因のひとつだと考えられています。
②保湿をしよう
赤ちゃんの肌を清潔にした後は「保湿」です。入浴後など、肌をきれいに洗ってあげると皮膚内に水分が補給されてしっとりとする反面、皮膚の表面のうるおい成分が流れてしまうので出来るだけ早く保湿剤を塗ってあげましょう。皮膚内の水分が蒸発する前に保湿剤で肌の表面をコーティングしてあげるとしっとりとした肌を維持することができます。乾燥肌の予防のためにはカサカサが気になる部分だけでなく、全身に保湿剤を塗ってあげることが大切です。
③外的刺激から守ろう
肌を乾燥から守るためには「外的刺激」に注意することも大切です。皮膚が薄い赤ちゃんは、よだれを拭き取る時に使用するタオルの刺激や、乾燥によって痒くなった肌をかくといった刺激で肌トラブルを引き起こしてしまいます。出来るだけゴシゴシと拭かずに押さえるように水分を拭き取る、使用するタオルや衣類をオーガニックコットンなどの肌に優しい素材にするのも一つの方法です。また赤ちゃんに「かいちゃダメ」と言っても難しいもの。肌をかき崩さないように爪を短く整えてあげると、肌を傷つけにくくなります。
④加湿器を利用しよう
暖房をつけ、窓を閉め切ることが多い冬は部屋の中も乾燥しがちです。気になる場合は加湿器などを利用して湿度を調整してあげましょう。乾燥肌にとっての理想の湿度は50~60%。湿度計があるとこまめに確認しやすいのでオススメです。ただし、加湿器が汚れているとカビなどにより空気を悪くする原因に繋がるため、定期的に掃除するのも忘れずに。加湿器が無い場合は濡らしたタオルを室内に干しておくだけでも効果があります。
保湿剤の種類
保湿剤と一口に言っても軟膏やクリーム、ローションタイプなど種類はさまざま。それぞれの特徴を理解することでしっかりと予防することができます。ワセリンのような軟膏タイプは油分が多く保湿力はありますが、その分、伸びが悪くベタベタしやすいのが欠点です。クリームタイプは伸びも良く、ベタつきにくくなりますが軟膏タイプより保湿力が劣ります。ローションタイプは伸びの良さと毛がある部分にも使用しやすいですが、保湿力が3種類の中では弱めです。
アルコール消毒と乾燥
感染症対策として手洗いやアルコール消毒を行う回数が増えたことで皮膚の乾燥が進み、手がカサカサになることがあります。とくに冬は肌が乾燥しやすいため保湿による予防がより大切です。手洗いやアルコール消毒をした後はしっかりと水分を取り除き、ハンドクリームなどで保湿をしてあげてください。
改善しない場合は早めの受診を
赤ちゃんの肌はデリケート。肌に合わない保湿剤を使用することで痒みや湿疹に繋がってしまうこともあります。また乾燥しているだけでなく「アトピー性皮膚炎」などが原因である場合もあるため、なかなか乾燥肌が改善しないなど、不安に感じた場合は早めに皮膚科や小児科を受診しましょう。
監修/春日居皮フ・リウマチクリニック
山口美由紀院長
笛吹市春日居町別田164-1
0553-39-8658