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医療記事

2022年9.10月号

20〜30代でも注意したい~若年性更年期障害~

「あれ?最近、ちょっとしたことでイライラするな」「なんだか疲れやすくなったな」「月経が不規則だな」と感じたことはありませんか? 近年、20代~30代の女性に40代半ばから訪れると言われる「更年期障害」に似た症状を感じる方が増えています。 今回は「更年期障害」と「若年性更年期障害」の違い、原因や症状、病院に行くタイミングなどをご紹介します。

Q.若年性更年期障害とは?
A. 自律神経の乱れにより、身体や心が不安定になります。

【若年性更年期障害の代表的な症状】
・生理不順
・食欲不振
・息切れや動悸がする
・倦怠感
・微熱
・抜け毛の増加
・めまい
・肩こり
・頭痛
・寝つきが悪い
・汗を大量にかく
・冷え性
・顔がほてりやすい
・慢性的な疲れ
・不安になりやすくなる
・イライラしやすくなる
・気力や集中力が低下する
・気分が上がったり、下がったりする

etc・・・

若年性更年期障害とは、自律神経やホルモンの乱れにより“体や心が不安定になる状態”を指します。
この若年性更年期障害を放っておくと骨粗しょう症のリスクが高まるほか、最悪の場合に不妊症や早期閉経などへと繋がってしまう可能性があります。

Q.若年性更年期障害と更年期障害の違いは?

A.原因がそれぞれ異なります。

更年期障害は一般的に40代半ばから訪れる症状です。代表的な症状は上記に挙げた若年性更年期障害とほとんど同じですが、閉経が近づくにつれ卵巣機能が低下し、女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」が減少することが原因のひとつとして考えられています。
また更年期障害は症状の出方は様々ですが、ほとんどの女性が経験すると言われているものです。

それに対して若年性更年期障害は「無理なダイエット」や「不規則な睡眠」「不規則な食生活」といった“生活習慣の乱れ”が関係していると言われています。また大きな原因のひとつに「ストレス」があります。
過度なストレスは女性ホルモンの減少や自律神経の乱れなどを引き起こしますため注意が必要です。スポーツ選手では過度な運動が原因となることも。

Q.受診するタイミングは?

A.不安に感じたら受診をしましょう!

人によって症状の出方は様々なため、身体や心に不調を感じた段階で産婦人科を受診するのがオススメです。
若年性更年期障害だと思って受診した結果、実は別の病気だったということも少なくありません。
初診の際は最終月経や月経の周期、生活習慣、いつから症状が出ているかなどをメモしておくと受診がスムーズです。

Q.予防や改善はあるの?

A.自律神経を整え、規則正しい生活を送ることが大切です。

まずは「無理なダイエット」や「不規則な睡眠」「不規則な食生活」「過度なストレス」といった自分に当てはまる原因を変えていくことが必要です。特に心の負担は気が付きにくいですが、仕事や育児に無理をしていないかなど普段の生活を振り返ってみましょう。


【自律神経を整えるためのポイント】

■日光を浴びる

日光浴をすると、ストレスを軽減させる通称「幸せホルモン(セロトニン)」が増加していくと言われています。あえて散歩をしなくても起きた時にカーテンを開けて日光を浴びるだけでも◎。体内時計を整えるためにも毎日、同じ時間帯に起きるのもポイントです。

■身体を冷やさない工夫をする

身体の冷えは血行不良を起こし、自律神経を乱れさせる原因となります。エアコンのきいた部屋では体温調整が出来るように「薄手のカーディガンなどを用意する」「エアコンの風が直接当たらない場所に移動する」といった工夫が大切です。また気温が低い時には「白湯を飲む」「靴下を履いて寝る」「手袋や腹巻をする」などの工夫が効果的です。

■ぬるま湯に浸かる

忙しい毎日についついシャワーのみにしてしまう日もありますが、37~39℃ほどのぬるま湯に最低10~15分ほどゆっくりと浸かると副交感神経に刺激を与えるほか、筋肉が弛緩して疲れやこりが取れやすいと言われています。お風呂に好きな入浴剤を入れるのもオススメです。

■適度な運動をする

過度な運動は自律神経を乱れさせることもありますが、ストレッチなど適度に運動をすると日頃の運動不足が解消されて血行の循環が改善されます。その結果、身体と心をリラックスさせる副交感神経が優位となりストレスが軽減されると言われています。

■就寝前にはスマートフォンはオフにする

就寝前にスマートフォンを長時間見てしまうとブルーライトの光によって脳が昼間だと錯覚し、寝つきが悪くなると言われています。
出来るだけスマートフォンは避けて、良質な睡眠を取るように心がけることが大切です。

■食事内容を改善する

食材の中には女性ホルモンの増加を助けるものもあります。
例えば大豆にはイソフラボンという成分が女性ホルモンと似た働きをすると言われています。
もちろん、大豆のみを食べれば改善される訳ではなく、最も大切なのは栄養バランスを考え、色んな食材を身体に取り入れることです。

監修/産科婦人科清水クリニック
清水洋一院長
甲府市向町450-5
055-221-0341

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