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医療記事

9・10月号

少し聞きづらい「生理」のあれこれ。

女性の身体に定期的に訪れる生理。妊娠や出産の役割を果たす大切な身体のしくみです。 生理は人それぞれ個人差があり、ときには病気が隠れていることも・・・。 生理の正常な状態、異常な状態をどう見分けたら良いのでしょう?今月は人に少し聞きづらい生理について解説します。

生理のリズム

正常な生理周期は約25~38日。また生理開始から14日目頃に「排卵」が起こります。
このリズムは「黄体ホルモン」と「卵胞ホルモン」という2つの女性ホルモンの

分泌量の変化から起こり、
4つの時期を女性の身体は繰り返していると言われています。

①月経(生理中・低温期)

生理中は体温を上げる役目を果たす黄体ホルモンの分泌量が減少すると体温が下がります。
そのため冷えにより血行が悪くなるほか、生理痛や頭痛など身体の不調が出やすい状態に。
また生理の出血により貧血気味になる人も少なくありません。
そのため身体の不調から「心も憂鬱な気分になりやすい時期」と言われています。

②卵胞期(生理後・低温期)

この時期は卵胞ホルモンの分泌が増加することで新陳代謝が活発化し、
肌や髪のツヤがよくなります。
さらに卵胞ホルモンは自律神経の働きを安定させるため、徐々に憂鬱な時期から脱出。
「身体も心も穏やかに過ごしやすい時期」です。

③排卵期(排卵・低温期)

脳から排卵を促すホルモンが分泌され排卵が起こります。
ホルモンバランスが急激に変動するため「気分の落差が出やすい時期」へ。
卵胞ホルモンの分泌量が減少していくことで、
肌が脂っぽいなどの変化を感じることもあります。

④黄体期(生理前・高温期)

排卵後は黄体ホルモンの分泌量が増えていき基礎体温を上げるほか、
子宮内膜を妊娠しやすい状態に戻していきます。
そのため下腹部に違和感を覚えることや、

胸のハリや便秘などの不調に悩まされることも。
また黄体ホルモンの影響によりイライラするなど

「身体と心が不安定になりやすい時期」になります。

正常な生理、異常な生理の目安

「黄体ホルモン」と「卵胞ホルモン」の分泌量の変化により起こる身体の変化。
時にこの分泌量のバランスの乱れにより生理に関するトラブルが起こることもあります。
身体の不調だけではなく、心のストレスなどでも起こるため、
正常な生理、異常な生理の目安を知って身体のSOSに気付けるようにしましょう。

正常な生理の目安

☆チェックポイント☆

①生理周期は約25~38日ですか?

②生理期間は3~7日ですか?

③血量は正常ですか?(1時間以上、ナプキンが持ちますか?)

正常といわれる生理周期は約25~38日です。
心のストレスなどで前後6日ほどずれることもあります。
また生理中の日数は3~7日以内とされ、血量は20~140gが正常な生理の目安になります。

異常な生理の目安

☆チェックポイント☆

①生理周期が24日以内→頻発月経

②生理周期が39日以上→稀発月経

③普段より月経の出血量が多い、

 レバーのような血のかたまりが多い→過多月経

④普段より月経の出血量が少ない、

 生理期間中にナプキンがほとんど必要としない→過少月経

⑤生理期間中に日常生活が送れない程の痛みや、

 3日以上鎮痛剤を飲む場合→月経困難症

頻発月経

生理周期が24日以内と短い間隔でくる場合は「頻発月経」の可能性があります。

排卵がある場合とない場合があり、

排卵がある場合は黄体ホルモンの分泌量が減少していることが原因で、

生理前の黄体期が短くなっているケースが考えられます。

排卵がない場合は生理期間が10~14日と長く、

生理中の出血量が少ないのが特徴です。

どちらも貧血や不妊の原因に繋がるおそれがあると言われています。

稀発月経

生理周期が39日以上と長い間隔でくる場合は「稀発月経」の可能性があります。

頻発月経と同様、排卵がある場合とない場合があります。

排卵がある場合は妊娠が可能なため過度な心配はありませんが、

排卵がない場合は要注意。放置すると生理が戻らず、不妊につながる恐れがあります。

排卵の有無は基礎体温を調べ、高温期と低温期を確認することで分かりますが、

不安な場合は出来るだけ早めに産婦人科へ相談しましょう。

過多月経

普段より月経の出血量が多い、レバーのような血のかたまりが多いと感じた場合は

「過多月経」の可能性があります。

またナプキンが1時間以上もたない時にも過多月経が疑われ、

出血多量により貧血を起こしやすいほか、

子宮筋腫や子宮内膜症などの病気につながる恐れがあります。出血量が多く、

生理期間が8日以上続く場合は「過長月経」の可能性も。

過少月経

普段より月経の出血量が少ない、生理期間中にナプキンがほとんど

必要としない場合は「過少月経」の可能性があります。

生理期間が1~2日ほどで終わる場合は「過短月経」のケースであることも。

いずれも子宮の発育不全などの子宮に関する異常が原因と考えられます。

月経困難症

生理期間中に日常生活が送れない程の痛みや、

3日以上鎮痛剤を飲む場合は「月経困難症」の可能性があります。

月経困難症には子宮内膜症などが原因の病気から起こる「器質性月経困難症」と

心のストレスなどからくる「機能性月経困難症」があります。

とくに器質性月経困難は30歳以上、

機能性月経困難症は15~25歳の方に起こりやすいと言われています。

ママも知っておきたい「早発月経」

はじめて生理がくる年齢の平均は12~13歳と言われています。

個人差はありますが10歳6か月より前に初経が来た場合は「早発月経」の可能性も。

早発月経は早い段階で身体が完成することから低身長などの原因に繋がるおそれもあります。

その場合は薬剤を使用してホルモンの分泌量を調整することがありますが、

治療が必要でない場合もあります。まずは治療が必要かどうかを含めて産婦人科へ相談しましょう。

気になるときはすぐに受診を

どんな病気も早期発見が大切。紹介した以外にも、

普段の生理と違うと感じた場合は早めに産婦人科へ相談することをオススメします。

また10代などの若い世代が発症することも珍しくありません。

ママだけではなく、娘さんと生理の知識を共有して母子で身体のSOSに気づけると良いですね。

 

監修/産科婦人科清水クリニック
清水洋一 院長
甲府市向町450-5
055-221-0341

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