Q子宮頸がんとはなんですか?
子宮頸がんとは簡単に説明すると「子宮の下にある管状の部分=子宮頸部」に癌が発症することを指し、子宮がんの約7割は子宮頸がんであると言われています。以前は40~50歳代の女性に多く発症すると言われていた子宮頸がんですが、現在では30歳代後半がピーク。20~30歳代の女性の発症率が増えてきているのもデータで判明しています。また2019年の国立がん研究センター がん情報サービスのデータによると年間11,000人ほどが子宮頸がんを発症したとの報告があります。
Q子宮頸がんの原因とは?
子宮頸がんの原因のほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)によるものです。またHPVは珍しいウイルスではなく、性交経験のある女性であれば一生に一度は感染すると言われるウイルスです。しかし感染したからといって必ず子宮頸がんに繋がるわけではありません。感染者の約9割は自身の免疫力でHPVを自然排除します。しかし、稀に自然排除できず長期間HPVに感染したままとなり、数年以上をかけて子宮頸がんに進行する可能性があります。
Q子宮頸がん予防ワクチンを接種するメリットは?
大きなメリットとして「HPV」の感染を予防できることが挙げられます。子宮頸がんになる主な原因とされるHPVの持続的な感染や、HPVの異形成を予防するという点では効果が確認されており、接種が進んでいる一部の国では、子宮頸がんそのものを予防する効果があることも分かってきています。ちなみに子宮頸がん予防ワクチンは肛門がんや腟がん、中咽頭がん、外陰部がんなどの予防効果も期待できると言われており、世界には男性に対して公費助成が出る国もあります。
Q子宮頸がん予防ワクチンは1種類だけですか?
現在、日本で接種することができる子宮頸がん予防ワクチンは以下の「3種類」です。
①2価ワクチン(サーバリックス)
②4価ワクチン(ガーダシル)
③9価ワクチン(シルガード9)
以前は9価ワクチン(シルガード9)を接種しようとすると自費でしたが、2023年の4月より定期接種として無料化されました。
3種類の大きな違いとしては、
①2価ワクチン(サーバリックス)→HPV16型と18型の高リスク型の感染を防ぐ
②4価ワクチン(ガーダシル)→HPV16型と18型の高リスク型、6型と11型の低リスク型の感染を防ぐ
③9価ワクチン(シルガード9)→、HPV16型と18型に加え、ほか5種類のHPVの高リスク型、6型と11型の低リスク型の感染を防ぐ
といった違いがあります。
Q子宮頸がん予防ワクチンは何歳までに、また何回接種すればよいですか?
現在、日本では小学校6年生~高校1年生相当の女子は公費で子宮頸がん予防ワクチンを接種することが可能です。そのためこの期間に接種することが推奨されてはいますが、その期間を過ぎたからと言って接種が出来ない訳ではありません。
接種回数は受けるワクチンによって異なり、
①2価ワクチン(サーバリックス)→合計3回
②4価ワクチン(ガーダシル)→合計3回
③9価ワクチン(シルガード9)→1回目接種が15歳になるまでであれば合計2回、1回目接種が15歳になってからであれば合計3回
いずれも半年から1年の間に接種します。
Q子宮頸がん予防ワクチンの副反応はありますか?
代表的な子宮頸がん予防ワクチンの接種による副反応は以下のものが挙げられています。
・接種部分の痛みや腫れ
・注射による恐怖や痛みなどのきっかけによる失神
・発熱
など・・・。
稀にですが、呼吸困難などが起こるアナフィラキシーや、両手や足の力が入りにくくなるギラン・バレー症候群などが起こる可能性もあります。またこの他にもワクチンの種類によって出やすい副反応が異なるため、より安心して接種するためにも接種予定の病院でメリットやデメリットを含めた説明を受け、理解することが大切です。
Q子宮頸がん予防ワクチンを接種すれば定期検診は受けなくても問題ありませんか?
子宮頸がん予防ワクチンは100%予防するものでは無いため、接種後も定期検診を受けたほうが良いでしょう。20歳以上の女性であれば2年に1度のペースで定期検診を受けることが推奨されており、市町村によっては無料または一部負担で受けることができます。子宮頸がんは初期症状がほとんど無く、進行してきてから月経外での出血や下腹部の痛み、おりものの異常などが現れることからも、早いうちに発見が可能な定期検診は有効です。
監修/産科婦人科清水クリニック
清水洋一院長
甲府市向町450-5
055-221-0341