Q 今、妊婦なのですが「出産までに歯はきれいに直した方が良い」と両親に言われたことがあります。
妊婦で歯の治療が必要な理由と、妊娠中の歯や口の中の変化を教えてください。
A、妊娠中は、女性ホルモンの分泌の増加や、つわりなどにより歯磨きなどの口腔ケアが十分にできなくなります。
このことによって一般的に虫歯や歯肉炎、歯周病を起こしやすくなります。
さらに、つわりによる嘔吐や唾液の分泌量の減少などによって口腔内が酸性になり、
歯のエナメル質を構成するミネラル成分のリンやカルシウムが溶け出してしまうことも虫歯の発症・進行の原因に……。
食べ物の嗜好が変わり、酸っぱい食べ物や甘いものを好む傾向になる方が多く、
このような食習慣の変化でも口腔内が酸性に傾き虫歯を発症しやすくなります。
このように、妊娠初期は口腔ケアが十分にできない事が多いので、虫歯や歯周病を発症しやすいのです。
また妊娠中に重度の歯周病にかかっていると早産になるリスクが高くなることが指摘されています。
そのリスクは実に7倍にものぼるといわれ、
妊娠中のタバコやアルコールなどの摂 取による早産よりもはるかに高い数字なのです。
てよって妊娠4ヶ月以降の安定期になり ましたら、早めにかかりつけの歯科医院で虫歯や歯周病の検査を受けることをおすすめしま す。
Q 大人も子どもも、歯磨きをするのにどのくらいの時間をかければ良いのでしょうか?
A、歯磨きは時間をかけて磨けば良いというわけではなく、正しいブラッシング方法で磨かなければ時間をかけても意味がありません。
歯磨きは適切なブラッシング圧で小さく小刻みに動かす事がポイントです。
ブラシを強く押し付けて磨くとブラシの毛先が開いた状態になってしまうので歯垢は綺麗に落ちませんし、
ブラシを大きく動かし過ぎても歯間部や歯の凹みの部分の歯垢を落とす事が出来ません。
また、でたらめにあっちこっち磨くと磨き残しが出てしまいますので、
磨く順番を決めてブラッシングするようにしましょう。
右上奥歯→上の前歯→左上奥歯→左下奥歯→下の前歯→右下奥歯というように自分で順を決めて磨くと、
磨き残しが少なくなります。順番に丁寧に磨いていくと少なくても5分〜10分はかかると思います。
正しいブラッシング方法は歯科医院で指導していますので、
ブラッシングに自信のない方は、かかりつけの歯科医院でブラッシング指導を受けてみてください。
Q 子どもの口臭がとても気になります。歯磨きはきちんとしているのですが……、どこが悪いのでしょうか?
A、お子様の歯磨きをしっかりやっているのに口臭がある場合は、いくつかの原因が考えられます。
例えばお子様の鼻はつまっていませんか? 口呼吸が原因で口臭を発生させている可能性が高いです。
お子様の鼻は詰まっていませんか? アレルギー性鼻炎や蓄膿症(ちくのうしょう)、風邪などの病気がある場合、
鼻が詰まってしまうと口呼吸をせざるを得ません。口呼吸などによって口腔内が乾燥すると、
口腔内が乾燥して口臭が発生し安くなります。これは、本来はあまり臭わない生理的口臭が増強されてしまうためです。
また、口呼吸によって舌苔(ぜったい)や扁桃腺(へんとうせん)に細菌が増えてしまうことも口臭の原因となるといわれています。
このほか、咽頭扁桃(いんとうへんとう)の凹みに膿栓(のうせん)という膿が固まった黄色い玉ができて、
これが口臭の原因になることもあります。
その他にもストレスなどによる唾液の分泌量の低下が原因で起こる口臭の場合もあります。
お子様をよく観察して、口呼吸をしているようであれば耳鼻咽喉科へ。
鼻づまりの原因疾患の治療をすることをおすすめします。
医療法人社団やすだデンタルクリニック
院長 安田伸一
甲府市大里町5283
☎055-243-8461