冬に肌が乾燥する原因
乾燥肌とは、皮膚のバリア機能が低下している状態のこと。肌は表面から角質層→表皮→真皮の順に重なっており、正常な肌では「角質層」が内部からの水分の喪失を抑えるほか、外からの雑菌や紫外線などから皮膚を守る働きをしています。しかし空気が乾燥しやすい冬では皮膚内の水分が失われやすく、角質層のバリア機能が正常に働かなくなる原因に。その結果、皮膚がカサカサになり「乾燥肌」を引き起こすと考えられています。
赤ちゃんの肌
赤ちゃんの乾燥肌でとくに気を付けたいのは生後4ヶ月以降。赤ちゃんの誕生から生後3ヶ月頃まではお母さんからのホルモンの影響により、皮脂の分泌が盛んで肌も脂っぽい状態です。生後4ヶ月頃を超えると皮脂の分泌量は落ち着いていきますが、角質層の厚みが大人の半分ほどしかないためバリア機能が低下しやすく、大人よりも乾燥に弱い状態に。そのためオムツが擦れる程度の刺激で肌トラブルを起こすこともあります。とくに乾燥している部分は「粉ふき肌」と呼ばれる白い粉が見られる状態になり見た目だけではなく、痒みを伴うことが多いため、日頃からきちんとしたケアをしてバリア機能を高めてあげることが大切です。個人差はあるものの、この状態は思春期頃まで続きます。
どう予防したらいいの?
①肌を清潔な状態にしよう
まず大切にしたいことは「肌を清潔な状態にする」ことです。大人に比べて2~3倍ほど多く汗をかく赤ちゃんの肌はべたつきやすいため、ほんの少しのホコリでも肌に吸着してしまいます。そのまま保湿剤を塗ってしまうと乾燥の悪化や別の肌トラブルを引き起こすこともあるので、1日1回は沐浴や入浴などで肌を清潔にしてから保湿剤を塗ってあげましょう。また冬の時期は寒く、お風呂やシャワーの温度を上げたくなりますが、理想の温度は38~40℃です。温度が高すぎると肌の刺激に繋がり、痒みの原因になるだけでなく、必要な皮脂まで取り過ぎてしまうことも。夜に痒みが強くなる原因も、布団に入って身体が温まることでの温度差が原因のひとつだと考えられています。
②保湿をしよう
赤ちゃんの肌を清潔にした後は「保湿」です。入浴後など、肌をきれいに洗ってあげると皮膚内に水分が補給されてしっとりとする反面、皮膚の表面のうるおい成分が流れてしまうので出来るだけ早く保湿剤を塗ってあげましょう。皮膚内の水分が蒸発する前に保湿剤で肌の表面をコーティングしてあげるとしっとりとした肌を維持することができます。乾燥肌の予防のためにはカサカサが気になる部分だけでなく、全身に保湿剤を塗ってあげることが大切です。
③外的刺激から守ろう
肌を乾燥から守るためには「外的刺激」に注意することも大切です。皮膚が薄い赤ちゃんは、よだれを拭き取る時に使用するタオルの刺激や、乾燥によって痒くなった肌をかくといった刺激で肌トラブルを引き起こしてしまいます。出来るだけゴシゴシと拭かずに押さえるように水分を拭き取る、使用するタオルや衣類をオーガニックコットンなどの肌に優しい素材にするのも一つの方法です。また赤ちゃんに「かいちゃダメ」と言っても難しいもの。肌をかき崩さないように爪を短く整えてあげると、肌を傷つけにくくなります。
④加湿器を利用しよう
暖房をつけ、窓を閉め切ることが多い冬は部屋の中も乾燥しがちです。気になる場合は加湿器などを利用して湿度を調整してあげましょう。乾燥肌にとっての理想の湿度は50~60%。湿度計があるとこまめに確認しやすいのでオススメです。ただし、加湿器が汚れているとカビなどにより空気を悪くする原因に繋がるため、定期的に掃除するのも忘れずに。加湿器が無い場合は濡らしたタオルを室内に干しておくだけでも効果があります。
保湿剤の種類
保湿剤と一口に言っても軟膏やクリーム、ローションタイプなど種類はさまざま。それぞれの特徴を理解することでしっかりと予防することができます。ワセリンのような軟膏タイプは油分が多く保湿力はありますが、その分、伸びが悪くベタベタしやすいのが欠点です。クリームタイプは伸びも良く、ベタつきにくくなりますが軟膏タイプより保湿力が劣ります。ローションタイプは伸びの良さと毛がある部分にも使用しやすいですが、保湿力が3種類の中では弱めです。
アルコール消毒と乾燥
感染症対策として手洗いやアルコール消毒を行う回数が増えたことで皮膚の乾燥が進み、手がカサカサになることがあります。とくに冬は肌が乾燥しやすいため保湿による予防がより大切です。手洗いやアルコール消毒をした後はしっかりと水分を取り除き、ハンドクリームなどで保湿をしてあげてください。
改善しない場合は早めの受診を
赤ちゃんの肌はデリケート。肌に合わない保湿剤を使用することで痒みや湿疹に繋がってしまうこともあります。また乾燥しているだけでなく「アトピー性皮膚炎」などが原因である場合もあるため、なかなか乾燥肌が改善しないなど、不安に感じた場合は早めに皮膚科や小児科を受診しましょう。
監修/春日居皮フ・リウマチクリニック
山口美由紀院長
笛吹市春日居町別田164-1
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