質問1:子どもに夏の保湿は必要?
子どもは大人に比べて皮脂の分泌量が少なく、
生後6か月ほどから10歳くらいまでは大人の3分の1ほど。
さらに、角層に水分を保つ能力が低いので乾燥しやすくなります。
皮脂は汗と混ざり合うことで皮膚表面に膜をつくり、水分を蒸発しにくくしたり、
皮膚を保護したりする役割を果たしてくれるものです。
ですので、皮脂が少ない子どもは、汗をかく暑い時期でも、
皮膚表面の保護膜が大人に比べて少なく、乾燥したり、
皮膚が刺激に弱くなったりして汗などでかぶれやすくなります。
加えて、エアコンがよく効いている場所では汗が少なくなり、より乾燥しやすくなります。
乾燥の度合いには個人差があります。
ですから、まったく乾燥していない子どもは保湿を控えてもいいと思いますが、
触ってカサカサしていたり、白っぽくなっていたりする場合は夏も保湿をしましょう。
夏の保湿剤はローション剤などさらさらしたものでもいいと思います。
乾燥が強い場合やアトピーがひどい場合は、クリームや油性のものを継続しましょう。
質問2:子どもの日焼け止めは使用した方がいい?どんなものがいい?
紫外線量は4〜9月に年間の約70~80%が降り注ぎます。
近年では紫外線による光老化、発がん、免疫抑制などのおそれが指摘され、
幼少期から適切な紫外線対策を行うことは、
生涯にわたり健やかな肌を保つために大切な生活習慣の一つとされています。
紫外線防御の基本は、日光暴露の多い時間帯(10時~14時)を避ける工夫をする、
複数の遮光方法を組み合わせることです。
日焼け止めだけではなく、服や帽子を工夫したり、日陰を選んだりすることも大切です。
なので、日常的に日焼け止めは必要ないと思いますが、長時間屋外で遊んだり、
日なたでプールや水遊びをしたりする場合は日焼け止めの使用をおすすめします。
保育所でも、日陰で遊んだり、帽子をかぶったり、
真昼を避けるなどの工夫をするように指導されているはずです。
日焼け止めは紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2種類がありますが、
紫外線吸収剤は肌に刺激になることもあるので、
紫外線散乱剤(ノンケミカル、紫外線吸収剤フリー)をおすすめします。
敏感肌用、子ども用の日焼け止めは、大体が紫外線散乱剤が多いといわれていますが、
ラベルなどの表示をご確認くださいね。
また、紫外線の防御力の強さはSPF(~50+)およびPA(+~+++)で表され、
それぞれUVB,UVAに対する防御効果を意味します。
SPF値は指示通り(2mg/㎝2)に塗布した場合の理想値ですが、
一般に塗布されている量はこれよりもはるかに少ないことが多く,
SPF値を過信するのは禁物です。
また、汗や摩擦で落ちることも多いので数時間おきに付け直すことも大切です。
プールでサンスクリーン剤を使用すると水質汚濁が懸念されてますが,
耐水性サンスクリーン剤ではほとんど問題ないことが明らかになっています。
- 一部『見た目と症状で探す!こどもの皮膚診療(羊土社)』参照
質問3:湿疹などの受診目安は?
暑くなると、汗がたまりやすい部分によく湿疹ができます。
一般的には「あせも」といわれますが、「あせも」は汗によるかぶれです。
痒みがなければ、汗がたまらないように拭いたり、
シャワーを浴びたりして様子を見てもOKですが、
痒くて掻いてしまうと炎症がひどくなってしまいます。
掻いていたり、傷があったりする場合は湿疹がひどくなる前に受診をしましょう。
掻かなければ自然に治ることもありますが、子どもに掻かせないようにするのは難しいですよね。
寝ている間に掻いてしまって血が出ているということもよくありますので、
注意して観察してあげてください。
質問4:子どもの足や頭皮のニオイが強烈です。どうして?どうしたら防げますか?
汗は皮膚の乾燥を防いでくれるので体温調節に必要なものですが、
汗を出す汗腺は大人も子どもも同じ数だけあるため、子どもは汗腺の密度が高く、
乳幼児は大人の7倍にもなります。
そのため、子どもは汗をよくかき、汗によるトラブルも多くみられます。
足や頭皮のニオイは、汗が長時間貯留し、そこで菌が増えてしまうことによることが多いもの。
特に足は靴をずっと履いているため、ムレが強く、菌の繁殖をよく起こします。
対策としては、拭いたり洗い流したりして、汗をこまめに取り除いたり、靴下を履き替えたり、
同じ靴をずっと履きっぱなしにしないことです。
どうしてもひどい場合は、皮膚科に相談してみてもいいと思います。
抗菌剤の外用薬が効くこともあります。
監修/春日居皮フ・リウマチクリニック
山口美由紀院長
笛吹市春日居町別田164-1
0553-39-8658