Ｑ 子宮内避妊器具 ミレーナとは？
子宮内避妊器具 ミレーナ（別名、レボノルゲストレル放出子宮内システム（IUS））とは、子宮内に避妊具を挿入する器具のことです。「リング」「避妊リング」などと呼ばれることが多く、ピルと同等の高い避妊効果が得られるほか、一度挿入すると約5年間は入れたまま効果が継続します。また金属を子宮内に挿入するイメージを持つ方も少なくありませんが、金属ではなくプラスチック製で柔らかく、形はリング型ではなく3ｃｍほどのＴ字型のものです。金属を使用していないためMRIやCTにも問題はありません。世界150か国以上で利用されているこのミレーナ、普及率は世界平均で20％ほどなのに対して日本は数％ほどと低いのが現状です。
Ｑ どんな悩みに役立つの？メリットは？
以下のような方にはおすすめです。
・妊娠を長期で望んでいない人
・ピルを毎日飲むのを忘れてしまう人
・ヘビースモーカーなどの理由からピルが処方できない人
・生理痛に悩む人
・月経時の出血が多い人
など・・・。
今までは「ノバＴ」などの避妊リングが主流でしたが、ミレーナはレボノルゲストレルと呼ばれる黄体ホルモンが含まれていることが大きな特徴のひとつです。レボノルゲストレルは子宮内膜を薄い状態にし、精子が通りにくい状態にすることで高い避妊率を維持するほか「月経時の出血量が減る」「月経痛が和らぐ」といった効果も期待できると言われています。またヘビースモーカーであるなどの理由からピルを飲めない方でもミレーナは使用できるところも大きなメリットです。さらに、ピルを問題なく飲めるけれど育児中だったり仕事が忙しく毎日ピルを飲むことが大変と感じている方にもミレーナはおすすめです。
Ｑ 避妊効果はどのくらいあるの？
日本で一般的に使用されているコンドームで妊娠する確率は2％、低用量ピルで0.3％、ミレーナで0.2％と言われています。
Ｑ 日常生活に支障はあるの？
日常生活に問題なく、性交にも影響はありません。また妊娠したいと考えた時には外すことで妊娠が可能になります。
Ｑ 費用はどのくらい？
2014年から月経困難症や過多月経の治療に対して保険が適用されるようになりました。ミレーナ挿入には保険初診（非課税）で11,260円、ミレーナ抜去に2,900円、ミレーナ交換（抜去＋挿入）に13,140円、定期検診に2,450円かかります。避妊目的などの場合には自費診療となります。その場合はミレーナ挿入には40,700円、ミレーナ抜去に4,400円、ミレーナ交換（抜去＋挿入）に44,000円、定期検診に2,750円ほどかかります（※費用は産婦人科により異なる場合もあります）。ちなみに定期検診はミレーナ装着後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、1年後、その後は1年に1回の間隔で定期検診を行うことが多いです。詳しくは産婦人科にご相談ください。
Ｑ デメリットはあるの？
以下のようなデメリットが挙げられます。
・5年以内での交換が必要
・定期的な検診を受ける必要がある
・極まれに重篤な副作用が起こる可能性がある
など・・・。
長期間使用できると言われていますが、効果が低下する可能性もあるため5年以内で交換をする必要があります。ピルのように毎日飲む必要はありませんが、定期的な検診は必要なため面倒だなと感じる人もいるかもしれません。ミレーナ挿入の副作用として月経周期の変化・月経出血日数の延長・腹痛・生理日以外の出血・卵巣囊腫などが生じる可能性があります。また、子宮などに炎症が起こる「骨盤炎症性疾患」や「子宮外妊娠」、ミレーナが本来あるべき場所ではなく別の場所に移動してしまうことで起こる「子宮穿孔」といった重篤な副作用が起こる可能性も極まれにあります。また妊娠する可能性は0.2％と低いものの、妊娠を100％防ぐものではありません。いつもと違うなどの違和感を覚えた場合はすぐに産婦人科を受診してください。
Ｑ 挿入時期や方法は？
挿入時期は生理中または、生理が終わって1週間以内でのミレーナ挿入が良いと言われています。生理後は内膜が薄いため子宮内からミレーナが剥がれ落ちる可能性が低いというのがその理由です。可能であれば予約したほうがスムーズなため、検討している場合は生理がはじまったタイミングで予約を取るのがおすすめです。またミレーナ挿入は医師による診察のあと5分ほどで挿入が終わるのが一般的なようですが、詳しくは担当医にご相談ください。
監修/産科婦人科清水クリニック
清水洋一院長
甲府市向町450-5
055-221-0341