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医療記事

2024年5.6月号

PMS?!イライラや眠気はもしかしたら月経前症候群かも・・・。

お腹が痛くなるなど、多くの女性を悩ませる月経……。実はその月経前にも身体に変化が起きている事をご存知でしょうか。月経が訪れる前、310日間に渡りイライラする・腹部が痛い等の不快感が続いたら、もしかしたら「PMS(月経前症候群)」かもしれません。今記事ではPMSとは何か、どんなことが身体に起こるのか等をご紹介します。 

Q PMS(月経前症候群)ってなに? 

月経が訪れる前、310日間に渡り、身体や精神面に症状を引き起こすことをPMS(月経前症候群)と呼んでいます。症状は様々ですが身体症状では「乳房の張りや痛み」「腹痛」「頭痛」「手足のむくみ」、精神症状では「イライラする」「眠気に襲われる」「気分が落ち込む」「怒りっぽくなる」等が挙げられます。また引き起こす症状は1つのみではなく重なって現れることが多いと言われています。その種類は200種ほどにも及ぶとされ、個人差もあります。

 

Q PMS(月経前症候群)の特徴は? 

毎月、月経前に「腹痛」等の身体症状、「イライラする」等の精神症状が現れ、月経が始まる頃に症状が治まる、または和らぐのが特徴です。また精神症状が強く現れている場合にはPMDD(月経前不快気分障害)やうつ病等、別の精神神経疾患である可能性もあります。より正しい判断をする為にも症状内容や期間をメモしておくと良いでしょう。 

 

 Qどうしてなるの? 

原因ははっきりと解明されていないのが現状です。ですが女性ホルモンの変動に大きく関わっていると考えられています。女性ホルモンとは卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のことを指しますが、エストロゲンは「気分や睡眠、食欲などを調節する働き」が、プロゲステロンは「気分を落ち着かせたり、不安感を取り除いてくれたりする神経伝達物質を上手く働かせる役割」を持ちます。この2つのホルモンが黄体期(排卵から月経までの期間)に分泌され、変動することが一因と言われ、普段は気にならなくても「精神面から来る自律神経の乱れ」が加わることで症状が現れる人もいます。 

Q PMSとどうやって向き合えばいい? 

まずは症状を把握することが大切です。例えば月経前に現れた症状や期間等をノートに記しておくと、自分がいつ・どんな状況だったのかを見返して思い出すことが出来ます。期間や症状を自分で把握することで、その時期にマッサージやエステ等、リラックスが出来るケアを予め入れる・仕事の負担が減るように調整するなど自分でコントロールがしやすくなりますし、原因が分かることで不安感を拭うことも出来るでしょう。日常的に部屋でアロマオイルを焚く・ヨガ・散歩をする等、自分で気分転換が出来る環境を作っておくのも有効です。また塩分摂取を控えるほか、喫煙やアルコールを控えることも症状を和らげると言われています。 

 

Q毎月イライラしてつらい。予防や対策はある? 

身体の不調を感じる時は無理をせず、ゆっくりと休むことが一番ですが「分かっていても中々、思うように休めない……」ということもあるかと思います。血糖値が下がるとイライラが悪化することが知られているため、少しでも症状を軽減させるためにも食生活を見直すのも1つです。血糖値を上げると言ってもチョコレート等で急激に上げてしまうのはNG。その後、血糖値が急降下してしまい悪循環に陥る可能性があります。ゆっくり消化し、ゆっくり血糖値を上げてくれる「いも類」「豆類」等がおすすめです。1日に複数回に分けて身体に取り込むと、よりゆっくりと血糖値を上げてくれます。またイライラを和らげる為に「レバー」「海藻類」等、マグネシウム・カルシウムの摂取を積極的に行うことも効果的と言われています。リラックスする為にカフェインの入ったコーヒーや紅茶を避けることも有効です。 

 

Q病院へ行くタイミングは? 

PMSは命の危険に直接、関する病気ではありません。しかし、毎月イライラや腹痛、頭痛が起き、悩まされる状況は健康的な生活とは言えません。日常生活をより過ごしやすくする為にも少しでも症状に当てはまっていると感じたら産婦人科へ行き、受診するのが良いでしょう。症状に合わせて一時的に排卵を止める低用量経口避妊薬や、頭痛を和らげる鎮痛剤・漢方薬等の適切な治療で改善を目指します。 

 

監修/産科婦人科清水クリニック
清水洋一院長
甲府市向町450-5
055-221-0341

 

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